OAPC(Osaka Association of Psychiatric Clinicks) since 1970 公益社団法人 大阪精神科診療所協会

自殺を防ぐためにできること
―一人でかかえこまず、まず相談してください―

「死ぬしかない」ことと、「死ぬしかないと思い込んでいる」ことは、違います。

自殺する人は、死ぬことで頭がいっぱいになっていて、その悩みを解決するには死ぬ以外に方法はないと思い込んでいます。

自殺した知人がひとりもいない、という人はないと思います。

少し、思い出してみて下さい。

あとで、その原因らしきものを聞いたとき、「えっ、そんなことで」と意外に思ったことは、ないでしょうか。

多重債務に苦しんでいるなら自己破産をすればいい、それでもだめなら、一時的にでも生活保護を受ければいい、うつ病なら治療を受ければいい、できない仕事は断ればいい、困ったことがあれば分かる人に相談すればいい、一人で持てない荷物なら誰かに手伝って運んでもらえばいい…。そんな、外から見ればなんでもない逃げ道も、見えなくなり、思いつかなくなってしまっているのです。

相談を受けたあなたが、「死ぬ以外にも道はあるのに」と思ったときは、それをそっと知らせてあげてください。具体的な道があれば、そっと示してあげてください。

でも、決して無理はしないでください。

あなたひとりで自殺を防ぐことは、容易なことではありません。あなたが、誰かの自殺を止めなければならないと、考えすぎないでください。また、もしも自殺を止められなかったとしても、自分を責めないでください。

死にたいと言われたら

「死にたい」という言葉に驚かないで、まず、悩みを聞いてあげて下さい。その人は、「死にたい」のではなくて、「死んでしまいたいくらいつらい」ということを、あなたにわかってもらいたいだけなのかもしれません。

話をよく聞かずに、いきなり、「そんなこと言ってはいけない」などと否定したり、「そんなこと言わないで」と話をそらしたりするのは、よい方法ではありません。それ以上の話がしにくくなるばかりか、全然分かってもらえないんだと、こころを閉ざしてしまうかも知れません。

しかし、悩みの内容があまりにも重く、一人で聞くにはつらすぎると思ったときや、あなた自身が不安を感じたときは、助けを呼ぶことが大切です。

救命のプロである医師でさえ、「けが人を見つけたら、まず大声で人を呼ぶこと」と訓練を受けています。一人で抱え込む必要はありません。ためらわないで助けを呼んでください。

口癖のように「死にたい」といわれたら

聞かされている人にとっては、これ以上の苦しみはありません。あなた一人が抱えるにはつらすぎます。

でも、「口癖のように『死にたい』といっている人は死なないものだ」というのは誤解です。「いつものこと」と軽く考えないで、一度は専門家に相談してください。

体調の不良の訴えがあるとき

長引く体調不良は、自殺の原因となることも少なくありません。逆に、自殺のサインとして体調の不良を訴える場合もあります。死にたいということを口にできず、身体の不調を語ることで、死にたい気持ちを分かってもらおうとしているのかもしれません。

こころの不調は話しづらくても、からだの不調については話しやすいものです。からだの不調について話し合っているうちに、こころの不調についても話ができるかもしれません。どのような不調があるのか、よく聞いてあげて下さい。

うつ病と思われるとき

うつ病かも知れないと思ったら、まず精神科を受診して相談してみてください。本人は、最初は医師にみてもらうことに抵抗があるかもしれません。そのようなときは、本人の信頼している人などに説得してもらうことでうまくいくこともあります。

説得するのがむずかしいと思ったら、精神科診療所やお近くの保健所等で相談してみてください。

悲しいことですが、"精神科なんかにかかったらもうおしまいだ"と思いこんでいる人は少なくありません。治療が必要なうつ病の8割の人が、適切な治療を受けていないとも言われています。うつ病は性格の問題でも気合いの問題でもありません。自殺によって本当に"おしまい"になってしまう前に、少しの勇気を出してみてください。

自殺のサインがあるのに何も話したがらないとき

この場合が、一番難しいかもしれません。

問題が解決困難だという思いが強いときは、誰しも「誰に相談してもむだだ」という考えになるものです。このようなときは、それとなく水を向けても、ただ「大丈夫」「心配ない」という答えしか返って来ないことも少なくありません。

あなたの中にも、自殺の可能性を考えたくない気持ちが働いて、何の手だても打てないまま時間だけが過ぎてしまうということにもなりかねません。

このような場合、危険性の判断は簡単ではありません。まず、専門家に相談してみて下さい。

アルコールの影にひそむ自殺の危険

お酒の力で嫌なことを忘れたという経験を持つ人は、少なくないでしょう。しかし、それも度を超すと、むしろ飲酒自体が、新たな問題を生むことになります。ことに、忘れたい嫌なことがいつまでたっても解決しないような場合は、危険です。

うつ病のつらい症状をお酒で紛らせているという場合もあります。逆に、アルコールによってうつ病が引き起こされることもあります。アルコールへの依存は、"慢性自殺"と呼ばれるくらい、自殺と深い関係があるのです。

お酒を減らしたいと思ったことがある、お酒について何か言われると腹を立てる、お酒を飲むのに後ろめたさがある、朝から飲んだり、迎え酒をするなどの傾向が見られたら、注意が必要です。

ご家族だけでも、専門医に一度相談してみて下さい。

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